それから、口喧嘩は続いた。今まで抱いてきた怒り、それぞれが思っていた事が何度も激しくぶつかり合って、そして一つに収束していった。

「……なあ、阪南」

「ん?」

「一応、アレで和解できたんだよな?」

 秋達と別れ、阪南と二人で家に帰る最中だった。秋も神無月も、もう大丈夫だと言ってそのまま帰ってきた。二人とも同じ方向だったからだ。

「さあ、でも二人とも謝ってたんだし、大丈夫じゃない?」

口喧嘩は簡単に言えば、お互いの謝罪で幕を引いた。

「多分、和解したと思うよ。昌弘はどう思う?」

 それを聞かれ、一瞬悩む。和解。それは、お互いの過ちを認めて繋がろうとする事。俺は、そう思う。昌弘はそれが本当に正しいかどうかはわからない。でも、一つだけ言いたかった。

「俺は、和解できたと思う」

「ふふっ、やっぱり」

 そうやって少し微笑む。風で少し髪が揺れていた事もあって、どう微笑んでいたかはよくわからない。多分、それはとても良い微笑みだったと思う。


「……じゃあ、本題に入るが」

「……ん? 何?」

「何で無関係と言ってもいい俺が勝手に巻き込まれているのか原因、わかるか?」

「……ん?」

 その事を言いたかった。出会った時も、御崎さんと田月をくっつけようと色々試行錯誤した時も、そして今回の神無月と秋の和解も。全部、俺一人だったらやっていなかった。だとしたら。

「……俺が関わらなくても良い事で、関わっている原因は誰だろうか?」

「……え~っと、それは……」

 彼女は少しずつ後ずさりをし始める。どんどん、俺から離れてく。後ろの方はいつもの交差点だった。

「……じゃあね!」

「あっ、おい待てよ‼」

 彼女が突然駆け出した。阪南は荷物を背負っているというので、走るスピードはいつもより少し遅い気がした。まあ、それは俺もなんだが。

「待てよ‼ 少しは労ってくれよ‼」

「え、何のこと? 私知らないよ~!」

「とぼけるなー‼ お前が巻き込ませたんだろぉ‼」

 2人の赤い影は横断歩道を一瞬と言ってもいいほどの速さで駆け抜けていった。

「ごめんごめん~! 私が悪かったから、許してぇ~!」

「自覚してるんなら、俺を巻き込ませるな‼」

 こんなことを口走っていたが、結局追いかけっこは何だかんだ言ってお気楽だった。俺にとっては深刻な事だが。

「わあああああぁぁぁぁぁ‼」

 この夜は、街中に彼女の悲鳴が鳴り響いた。