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「……ああぁ‼ 何あの態度」
阪南は、神無月の態度に怒りの矛先が向いているようだった。まあ、なんというかそうなるだろうなとは思ったのだが。
「また次、リベンジだよ‼ 昌弘‼」
リベンジをしなくていいだろう、それは……。
こんな感じで阪南が完全にご機嫌斜めな状態になっていた。これは苦労がかかる……。
「とりあえず‼ 和解させないと‼ アッキーの立場が無いじゃない‼」
そのアッキーというあだ名、どうして呼ぶようになったのかが気になるのだが。まあ、それよりも重大な事がある。
「まずどうやって和解させるんだ……」
「そりゃあもちろん適当にやればいつか解決できるって!」
とんでもないくらいノープランな返答が返ってきた。それで解決できるなら苦労など要らないのだが……。
「といわけで、また今度彼女に話をつけましょ!」
「いや、ちょっと待て。それはもうやめておいた方が良い」
流石にそれをやられたらまずい事になるので、止めるよう促す。
「えぇ~、何で~」
気づいていないようなので、説明するしかないか……。俺は、阪南に説明をする。まず、彼女のあの不機嫌そうな様子を見て、正直成功するとは思えない事。そして、ただ単に話し合いだけで解決させるには二人を落ち着かせるための期間が必要な事をという趣旨を述べた。
「……そういうものなの?」
「そういうものだ」
思わず即答で返してしまった。そこまで知らないって一体今までどういうことがあったのか。
「まあ、とりあえず。解決したいっていうならしばらく待たないといけないだろ」
「……ぶ~……」
顔を膨れ上がらせ、不満だという事を伝えようとしている。そんな態度されても、こっちは困るだけなのだが……。
Part:2(ここまで掲載済み)
様子を見始めてから2週間程経ったのだが、まだ二人が和解する事は無く、むしろ口論は悪化している。しかも、先生が気づく様子が無い。……というか、二人とも先生に話をつけようともしないというのが正しいのか。
まあ、とりあえず、2週間前とまったく状況が変わっていないという事だけは確かであった。
「……いい加減行動起こした方がいいんじゃない?」
「そうは言っても……どうすんだ」
阪南の言葉が詰まる。そりゃあそんな反応になるだろう。元々秋と阪南が知り合いであるぐらいの、俺達が解決のヒントを持っているわけでもないのだから。
「……よし、決めた」
すると、阪南が何かを呟いた。……決めた? 何を決めたのだろう。
「今日、昌弘の家に行くよ!」
「……何故、そこから俺の家に行くということになるんだ?」
「作戦会議よ! 作戦会議!」
なんとなく、やる事がわかってきた。まさかとは思うが、
「……どういうことだ?」
「要は、どうやって二人を和解させるかを話し合うの‼」
……まさにその通りだ。完全に俺も一緒にやる方針になってきた。……が、それをやるなら
「……もう、先生に話しつけた方が良いんじゃないのか?」
「先生だと解決できるかどうかわかんないじゃん! これは、同じ中学生同士が行動を起こす事で解決できる事案なの‼ でしょ?」
まあ、彼女の言う通り先生だけに任せてはいけないのかもしれないが、少しリスクが高い方法だろうなとは思う。
「大丈夫だって! うまくいくかもしれないんだから! ね?」
俺を慰めようとしている阪南。俺は、慰められるような事起こしていないぞ?
そして、結局の所話し合いは俺の家でやる事で確定してしまい、阪南に付いて行かれるというなんとも言い難い帰りだった。