「……すみません、ちょっと遅れました……」

「まったく……、遅いです」

「あはは……」

 俺は、田月に怒られる。まあ、そういわれても仕方は無いが……。

「昼休み、後数分で終わるじゃないですか……‼ さっさと戻りますよ」

「は~い……」

 田月は早歩きで、その場を後にする。御崎さんはこちらに礼をすると、田月の後を付いて行った。そういえば、御崎さんは一体どういった様子だったのだろう。

『そういえば、御崎さんのアレ、どうだったんだ?』

「さあ、でも結果は彼女から言ってくれるんじゃない?」

 しかし、あんなに早く告白して大丈夫だったのだろうか。相手は困惑している様子だったのかもしれないが……。

「……と、とりあえず戻ろっ! 授業遅れちゃう‼」

 そういえばそうだったと思った。阪南は先に走って戻っていく。俺はその後を追いかけて行く様に、弁当箱を持って阪南を追いかけて行く。


 あの後の変化と言ったら、田月と御崎さんが一緒に学校を登校したり、下校したりするようになった事だろう。

 あれから2週間程経った今、そう変化したのだと感じたのだ。

「おはよー! 夢ちゃんと田月くん、今日もだね‼」

 元気ハツラツと言わんばかりの声で、阿須和さんが声を掛ける。俺の方も挨拶で返す。

「あぁあ~……以前は夢ちゃんと登校とかしていたんだけどね~……まあ、告白したんだし結果オーライ‼」

 どうやら、阿須和さんは御崎さんと登校できなくなったことに少し不満を持っている様子らしい。だが、彼女が幸せならそれでいいみたいだ。

「んじゃ、私先に行ってるね~‼」

 阿須和さんは、学校一直線に駆け出していく。やがて、登降する生徒の波で見えなくなっていく。しかし、いざという時にここまで成功してしまうとは思いもしなかった。

「お~い! 昌弘~!」

 後ろから俺を呼ぶ声が聞こえる。多分、阪南だろう。そう思い、後ろを振り向くとやはりと言う事だった。

 面倒な事には巻き込まれてしまったが、それも解決した。少し、気分が良かった。今日も、阪南の話に付き合う事になるだろう。


 〈第2話 完〉