これなら行けるかもしれない。
「そういえば、昌弘くんってどっかいいとこ知ってる?」
そう思い俺はいい場所がある、……と提案する事にする。

「……すみま……せん」
 3人は俺の声に反応する。声を出すのは少ししんどいが、仕方がない。

「俺……良いとこ、知ってます」

  *

「ねぇ〜昌宏く〜ん、その多分喫茶店らしきお店ってこの辺りなの?」

 確かこの辺りだと。そうノートに書いて渡す。


 俺が商店街に喫茶店があったはずだという話を出した時、その場に居た俺以外全員がそこだ!と言った。そして、一旦家に帰ってから商店街の入り口に集合という形で、そのお店に行くことになった。

 しかし、その肝心の喫茶店が見つからない。全員がこの商店街を通る事がほとんど無かったのが原因であった。

「んも~! 探すのにこんなに手間取るなんて~!」

 阪南は怒りの言葉をそのまま口にする。探すのにこんなに手間取るのはよくある事のような気がするのだが、ツッコまずにそのままその話は放っておいた。


 そんな事はあったが、結果としてはあの時見た喫茶店を見つける事は出来た。阪南が真っすぐに突入していったので、俺達も阪南の後を付いていく。

 中に入ると、優しく、温かみがあると思わせる木の壁、中のイメージとぴったりな木製のテーブルが4台、そしてある程度の長さを持つカウンター席があった。

「いらっしゃいませ~」

 とても優しい声音で女の人が言う。この人がこのお店を切り盛りしている人なのだろう。彼女に案内されるまま、俺達は4人座れるテーブルの席に座った。

「それじゃあ、夢ちゃんが豊くんと結ばれる様に色々計画たてちゃお~!」

「お~!」

 阪南と阿須和さんは結構楽しそうな様子で、御崎さんは少し困惑してる。

「あの……これお遊びじゃないので……」

「わかってるよ~、ちょっと気分盛り上げさせて絶対うまく行く‼ ……っていう雰囲気にしちゃおうよ! そうすればうまく行くよ!」

「おお! ゆいちゃん良い事言う!」

「ふふっ、でしょぉ~?」

「んもお……!」

 初っ端から大盛り上がりだった。少し、うるさいが俺達以外に人はいないので、特に何も言われることは無かった。……ちなみにお店のお姉さんは少し微笑んでいる様子であった。更に俺に対しては青春してるな~、と言うようなとびっきりの笑顔で。

 それを見た瞬間、俺はハッとした。よく考えたら俺以外は全員女子だという事に。

 そんな顔をされる理由に納得いった所で、お姉さんが注文を確認しに来た。俺は、ホットのココアを頼んだ。