そして当日。俺は、阪南が指定した駅の近くにあるベンチで待ち合わせをする事になったため、その場所に来たのだ。

 近くに見える時計台は、午前8時50分辺りを指していた。少し早く来たが、特に問題はないだろう。阪南はまだ来ていない様子だったので、しばらく待つことにした。

 服装は外に出かけている時にいつも来ている組み合わせである白いTシャツの上に水色のジャケットと、ジーパンを着てきた。荷物は、会話に使うために用意したノートとシャープペンシルと消しゴムにある程度の金額が入った財布などをリュックサックに入れていた。

 いつもの恰好で来てしまったが、これはデートではないので問題はないだろう。


それから何分か過ぎたくらいに阪南はやってきた。彼女は少しおしゃれなTシャツに、ミニズボンを着て現れた。

「ごめ~ん! 少し遅れちゃった!!」

 俺は時計台の方を向く。確かに9時から2,3分過ぎているが、誤差だ。ノートを取り出してすらすらと書き出して阪南に見せる。

「……良かった。 それじゃあ、さっそく駅に乗りこも!」

 今日のお出かけというのは、隣の駅の繁華街に行って洋服などを見に行く予定だった。駅の近くのベンチで待ち合わせしたのは、駅に乗り込むためだった。

 俺達は駅の中に入った後、ICカードを使って改札を抜ける。そこで電車の来る時間を確認する。表には、次の電車は駅に来るのに数分程かかるようだった。

 俺達は駅のホームで電車を待つことにした。

「ねえねえ、今日は色々楽しめるよね!?」

 阪南はとてもワクワクしている様子だった。こちらに無邪気に話しかけ、目をキラキラさせているのだから間違いなかった。相当楽しみにしているようで何故かホッとした。