「寝室を貸してやる。

 風呂は病院にもあるが、もう使用時間は過ぎているだろうから、ここのを使え。

 沸かしてあるはずだ」

 焼け落ちたのとは反対側の突き当たり周辺にあると言う。

 少し確かめたいこともあったので、入るかどうかはともかくとして、真生は風呂を覗いてみることにした。

「気をつけろよ。
 いろんな霊とか暗殺者とか、暴漢とか、廊下にいるかもしれないからな」

 霊も暗殺者も暴漢もひとくくりか、と思っていると、高坂はこちらを見、

「一緒に入ってやろうか」
と言ってくる。

 いえいえ、結構です、と言って、真生はひとり廊下に出た。

 幸い、あのお前に殺されたと騒ぐ男は出ては来なかった。