「そうだな。
　今は電気もずいぶん普及しているから、減ってきてはいるけどな」
と言ったあとで、そういえば、と思い出したように高坂はまた、口を開く。

「最初に町に電線が張り巡らされた頃には、あれには電気を通すために、女の血が塗ってあるとウワサされてたんだ」

「なんで、女性の血で電気が通るんですか」

「なにか神秘的な感じがするからだろ。女の血って」
と言う高坂に、

「あなたでもそんなこと思うんですか」
と真生は言う。

「どういう意味だ」

「愛人なんてたくさん持ってるような人はもう、女性に神秘性など感じないのかと思ってました」
と言って、それとこれとは別だろう、と言われる。

「ところで、お前、ここで寝るか？」

　ふいに高坂はそんなことを訊いてきた。