そんな八咫を自分とともに見送っていた高坂が、
「また死体を持ってこなきゃいいがな」
と言い出した。

「え?」

「あいつ、俺を狙う奴を始末してくれるだけじゃなくて。
 他所で殺って始末に困ったのまで持ってきやがるから」

「そ、そうなんですか」

 まあ、ここだと、死体なんだか霊なんだかよくわからない感じだが、と思いながら、

「あのー、八咫さんも、あなたの愛人の方が何人も死んでいるとおっしゃってましたが」
と問う。

「何人もは言い過ぎだ。
 せいぜい、二人くらいのもんだろ。

 あとは、行方不明」

 いや、それもどうなんですか。

 っていうか、あなたの愛人、何人居るんですか。

 斗真と同じ顔で、さらっとそんなこと言わないで欲しいな……と真生は思う。