「でも、高坂さんは、この病院は人を蘇らせる病院だ、と言ったあとに、私に、あのグルグル巻きを見せてくれたんですけど」

 やはり、そこに、なにか意味があるのではないか、と真生は思っていた。

「そういえば、もうひとつ、面白い話を聞いたな」
と八咫が言い出す。

「高坂が見たと言うんだ。

 奴が暮らす廃病院の一角に魔方陣のようなものが描かれているのを。

 そのあと、何故かその一角でボヤが起こって、すべては消え失せ、院長がグルグル巻きで現れた。

 真生、何故、高坂が不死身の高坂と言われているか知ってるか?」
と八咫は訊いてくる。

「えーと。
 数十人の暴漢をひとりで斬り伏せたとか聞きましたが」

「その話は眉唾ものだ」
と八咫は眉をひそめる。

「あいつなら、銃で撃っている」
と言われ、なるほど、そんな雰囲気だな、と真生は思った。

「高坂は子供の頃、海外からこの病院に患者が持ち込んだ、致死率の高い病原体に感染したんだ。

 そして、死んだ」

 えっ、と真生は声を上げる。