そんなことを思い出していたとき、
「如月」
と声がした。
地理の教師がこちらに向かい、歩いてくるところだった。
「ちょうどよかった。
先週使った地図、持って来といてくれ」
簡単に言ってくれるが、普通の地図ではない。
ロールカーテンのように天井に紐で引っ掛けて下げる、厚く、重みのある地図だ。
「あれ、重くないですか?」
と真生は顔をしかめてみせたが、教師は、
「重いな」
と笑ったあとで、
「お前ならヨロヨロ運んでれば、誰か男が抱えてくれるんじゃないか? 斗真とか」
と軽く言い、行ってしまう。
その斗真は図書室なんだが、と思いはしたが。
引き返すのもめんどくさく、抱えてくれそうな別の男子を捜すのも、やはりめんどうくさかったので、真生はひとり、備品がしまってある地下資料室へと下りた。
「如月」
と声がした。
地理の教師がこちらに向かい、歩いてくるところだった。
「ちょうどよかった。
先週使った地図、持って来といてくれ」
簡単に言ってくれるが、普通の地図ではない。
ロールカーテンのように天井に紐で引っ掛けて下げる、厚く、重みのある地図だ。
「あれ、重くないですか?」
と真生は顔をしかめてみせたが、教師は、
「重いな」
と笑ったあとで、
「お前ならヨロヨロ運んでれば、誰か男が抱えてくれるんじゃないか? 斗真とか」
と軽く言い、行ってしまう。
その斗真は図書室なんだが、と思いはしたが。
引き返すのもめんどくさく、抱えてくれそうな別の男子を捜すのも、やはりめんどうくさかったので、真生はひとり、備品がしまってある地下資料室へと下りた。