「はい、そうですよ、八咫省吾さん」
と笑うと、そこで、うん? という顔を八咫はした。

「お前が本当に未来から来たというのなら、日本は……」

 いや、なんでもない、と八咫は言葉を止めた。

「戦況がどうなるのか気になりますか」

「今は戦争はしていない。だが――」

「やらなければいいのに」
と真生は言った。

「今は日本は戦争に参加してないですよね。

 このままなら、国が疲弊することもないのに。

 博打も戦争も同じですよ。

 勝ってる間にやめれば勝ちでしょう」

「言い得て妙だが。
 戦争だけは、こちらの都合だけで始まるものでも終わるものでもないからな」

 なんだその目は、と八咫は言う。

「言い訳だとでも?」

「いえ。
 私が口を出すようなことではないですから」