「その服、着替えたらどうだ」
と制服姿の真生を見て、八咫が言う。

「目立ちますか?」
と己の服装を見下ろし問うてみたが、

「いや、違和感はない」
と八咫は言った。

 まあ、そんなに昔に飛んだわけでもないからな。

 などと考えていた真生に八咫が言ってきた。

「貴様は奴の女好きを利用して近づいた、どこかの女スパイか?」

 やはり、女好きなのか? と思いながら、真生はその台詞を聞いていた。

「しかし、未来から来たとは、高坂にしては、ケレン味のある話だな」

「いや、本当ですよ。
 八咫さんっておっしゃるんですか?」

「八咫省吾(やた しょうご)。
 八咫烏(やたがらす)の八咫だ」
とにやりと笑う。

 こ、怖い。
 軍人の笑みだ、と真生は思った。