「未来から来たんだそうだ」
と言う高坂に、八咫は、

「新しい設定だな」
と言う。

 そういうんじゃない、と言ったあとで、高坂は、

「まあ、ともかく頼んだ。

 お前の部下なら、病院内をうろちょろしていても、とがめられることもないだろう」
と言う。

 それにしても、海軍と陸軍はお互いがお互いの上に行こうとして、反目していたはずなのに。この二人は行動を共にしているように見える。

 なにか共通の目的でもあるのだろうか。

 この二人に、というより、軍に、と思いながら、真生は八咫がいる間、二人の様子をうかがっていた。

 高坂は八咫に、真生を自分の部下ということにしろと言った。

 だが、陸軍に女性兵士がいたとは聞いたことはない。

 いたとしたら、諜報員とかそういう類いの人間だろう。

 では、やはり、八咫は普通の軍人ではないのか。

 そんなことを思いながら、廊下に出ると、帰ったはずの八咫がまだそこにいた。