もしかして、私たちを待っていたのだろうか、とふと思う。

「あら、透さん。新しい愛人の方?」

 そう昭子は言ってきた。

「いや、これは前から居るのだ」

 あら、そう、と昭子は流した。

 こちらを見て言う。

「あなた、気をつけることね。

 透さんの側に居ると、よく命を落とすのよ。

 殺されたりね。

 軍人さんは敵が多いから。

 透さん、そんな格好してないで、さっさと軍に戻ったら?

 ああ、あなたは不死身だから、命に危険があっても関係ないわね」

 不死身の高坂。

 彼は、そう呼ばれているのだと昭子は言った。