そんな怪しい話を軍が信じて、この人を送り込んでくるには、なにか根拠があるのでは、と思っていると、いきなり、高坂が、

「ちょっと来い、真生」
と言い、手をつかんできた。

「えっ、まだ飲んでるんですけどね~」
と真生は眉をひそめたが、高坂に引きずられるまま、紅茶を置き、部屋から出た。

 そういえば、と真生は、ふと思う。

 さっき飛んだときも、こうして手を繋いでいたけれど。

 この人、一緒に飛んだりはしなかったな―― と。