高坂はなにも言わなかったが、真生を見つめたあと、目を閉じ、言ってくる。

「人を蘇らせるには、代償が必要だ」

「代償……？」

　そう問い返しながら、この人は何故それを知っているのだろう、と思っていた。

　軍が秘密を知りたくて送り込んだということは、まだ、この人もこの病院の蘇りの秘密を知らないはずなのに。

　この時代だというのに、日本人離れした体型の高坂は長い脚を組み直し、窓の外を見て言う。

「まあ、この病院には軍も出資しているからな。

　いろいろと口も出せるんだ。

　軍はなんとか俺を理事長にして、この病院から、いろいろと掠め取りたいようだが」

　いろいろと……？

　ということは、蘇りの秘密以外にも、軍の上層部が欲しがっているものがこの場所にはあるということか。

「で、隠し子の高坂さんが、理事長になれそうなんですか？」
と真生が問うと、高坂は顔をしかめ、

「それがそう上手くもいかない」
と言う。