①青春恋愛部門

あらすじ

 戦争で焼け残ったパイプオルガンを創立記念祭で弾くことになった真生。

 タイムリープ現象に巻き込まれ、戦争が始まる前の日本へと飛ばされた真生は、美貌の軍人、高坂と出会う。

 学園に残る記録により、高坂が遠からず、死ぬことはわかっていたが、真生は高坂への思いを止められない。

 高坂に恨みを抱き、殺そうと付け狙う医師、秋彦を止めるため、真生は秋彦を未来へと引きずり込み、タイムリープ現象を止める。

 創立記念祭で弾く、未完の曲を完成させることで、タイムリープが終わることに、真生は気づいていたのだ。

 未来に戻れば、どのみち、高坂はすでに死んでいる人だ。
 わかってはいたが、今、助けられる運命からだけでも彼を助けたかったのだ。

 曲を弾き終わり、誰も居ない客席に頭を下げる真生。

 だが、そこに、高坂そっくりの男が現れ、手を叩く。
 彼は高坂と同じ瞳で、同じセリフを口にした。

「小娘、お前は何者だ――?」