なんだろう。
夢を見ていたな。
タクシーが着いた瞬間、利樹(としき)は思った。
夢の中で、自分はいつも夕暮れの日差しの中、戦闘機を見上げている。
その切なく胸を締め付けるものから離れたくてか、日本を離れていたが。
「間違って、学校の方に着いてしまったようだな……」
利樹はその学園の校門を見ながら呟いた。
すぐそこに病院は見えるのに、ぐるっと回るのはめんどくさいな。
横切れないものだろうかと思いながら、利樹は校門をくぐってみた。
最近、日本の学校もいろいろとうるさいらしいから、不審者かと思われて教師が飛んでくるだろうかなと思いながら。
すると、案の定、白衣を着た茶髪の男がすぐに校舎から出てきた。
養護教諭か、保健医のようだ。
こちらを見て嫌な顔をする。