「わかった。
 病原体の在り処は大体わかっている」
と言いながら、棚に近づいた。

 真生、お前が産まれてくる未来にあんなものを残したくないし。

 お前の存在する世界に不安を残したくはない。

 もしかしたら、未来では、あんな病原体、たいした脅威ではないのかもしれないが。

 そんなものをバラまいて得た勝利の上に成り立つ未来にお前を存在させたくない。

 俺のつまらぬ感傷かもしれないが。

 真生……。

 高坂は棚に飾っていたくるみ割り人形のレコードの陰にある小瓶を取るふりをして、用意していた爆弾のスイッチを入れた。