「真生さんのおばあさまと母がお友達だったと聞きまして」

 誰がおばあさまだ、と八咫を見るが、知らん顔をしていた。

「真生さん、おばあさまと同じお名前なんですってね。

 これ、たぶん、真生さんのおばあさまにいただいたものなんですよ。

 よくお話伺ってましたから」

 そう言い、綺麗に折り畳まれた、色褪せた百貨店の包みとあの香水の瓶を出してくる。

 今でも、ほのかに匂いが残っていた。

 あの時代の匂いと張り詰めた空気を思い出し、泣きそうになる。