「莫迦だな……」

 ぽつりと秋彦が言った。

「お前ももう高坂と会えなくなるのに」

 色のついていない部分に夕焼け空の広がるステンドグラスを見ながら真生は言う。

「でも、守りたかったから。

 例え、あの人がもう死んでいる人だとしても。

 私がもう二度と会えないとしても。

 ほんの少しでも長く、この世界に存在していて欲しいと願ったから」

 瞬きもせず、下も向かないようにして、真生は夕陽を見つめていた。

 真生、と呼びかけ、秋彦が立ち上がる。

「もう一度弾いてくれ」

 秋彦の手が離れたとき、不思議な感じを受けた。