だから、あんなにあっさりこの人のことを忘れたんだろうな。

 そんなことを思いながら、男に呼びかける。

「……やっと会えましたよ、津田先生」

 特に会いたくはなかったが。

 知っていたからだ。

 この男に出会うときが、自分がこの男を殺すときだと。

 銃に気を取られた秋彦の目を見たまま、真生はその腕に、八咫から貰っていた注射器を突き立てた。