真生は目を覚ました。
点滴はまだ落ちている。
大丈夫、いける。
真生は、点滴の針を自分で引き抜いた。
荒い息を吐き、ベッドから降りようとしたとき、入り口に人の気配を感じた。
車椅子の男の影が見える。
「行くのか、真生」
ええ、と真生は答えた。
「もうひとつ、やらなければならないことがあるんですよ、八咫理事長」
そして、もう時間がない。
考えまいとしているのに、頭の中で、完成されかけている旋律が駆け巡っているからだ。
体重をかけるようにして、引きちぎる勢いで制服をハンガーから落とした真生は病院の寝間着を脱ぎ捨てた。
「お前、もう少し恥じらいを持て」
と八咫は顔をしかめて言う。


