黄昏の光に輝く三機の戦闘機が空を横切る。
あの曲を弾きはじめてから、時折、ふっと脳裏に浮かぶ光景だ。
まるで、誰かの心に焼きついたものを見ているかのようなそんな感じ――。
如月真生(きさらぎ まお)は、ふっと目を覚ました。
だが、まだ夢の世界から抜け切っておらず、ぼんやりする。
目の前に、ひとりの男が立っていた。
腕を組み、こちらを見下ろしている。
やたら整った顔立ちだが、逆らったら斬るっ、といった雰囲気を醸かもし出しているせいか、あまり女子に言い寄られているところを見たことがない、真生の幼なじみ、弓削斗真(ゆげ とうま)だった。
「……なに渋い顔してんの?」
と真生は訊きく。
どうやら、ここは昼休みの図書室のようだった。