いつか、あなたに恋をする――

 これから自分に会うだろう高坂になにも語らせず、自らもまた、彼になにも語らなかったのは、きっと。

 恋をしてみたかったからだ。

 この人と最初から、何度でも――。

「なにを笑っている」

 いえ、と真生は言った。

 でも、やっぱりわからない、と思う。

 高坂さんを守ろうと飛んだ私にとっても、これから私に銃を突きつける高坂さんにとっても、もう恋は始まっていたのだから。

 誰が始めたのだろう。

 螺旋のように絡まり、永遠に逃れること叶わぬ、この恋を。

「高坂さん」

 そう名を呼んで、軍服の胸に額をぶつけた。

「高坂さん」

「……なんだ?」

「なんでもないです」

 ただその名を呼びたかっただけだ。

 もう二度と本人に向かっては呼べないかもしれないその名を――。