いつか、あなたに恋をする――

「さようなら、高坂さん。
 あなたの時間の流れの中で、今の私に会うのは、これで最後です」

 演じられるべき過去は、これですべて終わってしまった。

 これで終わりだ。

 さようなら――。

「でも、高坂さん、あなたの前には、また、真生が現れます。
 今居る私より、前の真生が」

 わかった、と頷いた高坂は強く真生を抱き締め、口づけた。

「いきなり私にひどいことしたりやったりしないでくださいね。
 ここに来たばかりの私は、緊張で仔ウサギのように震えてますから」

 誰が仔ウサギだ、という目で高坂が見るが。

 いや、本当だ。

 このあと高坂の前に現れる真生は、人を殺し、誰だか知らない男に慰められたばかりの真生だ。

 自分の血の穢れを流し、抱いてくれた高坂が、自分をまったく知らない人間のように振る舞うのを呆然と見ている。