いつか、あなたに恋をする――

 レコードは傷が多く、途中で止まり、その先へは行かなかったが、何度かかけた。

 不思議に惹きつけられる曲調だったが、それだけが理由ではない。

 自分の前で目を閉じ聴いているこの女と、もう少しこうしていたいと思ってしまったから。

 常に緊張し、切迫したように過ごしてきた自分に、初めて訪れた静かな時間のように感じた。

 いや、今、初めて、自分が緊張して生きてきたことがわかったというべきか。

 今までは、それで普通だと思っていたから。

 いつから?

 軍に入ってからか?

 反目し合っている海軍と陸軍が、この件に関しては、協力し合うくらい本気になっている病原体の問題に関わってからか?

 いや――

 一度死んで生まれ変わってからなのか。

 自分がこの世に生きている実感がなく、いつまた死ぬかと怯えていたからか。

 再び、曲が止まった瞬間、その女は目を開け、こちらを見た。

 視線を合わせ、笑いかけてくる。

 年下のようなのに、余裕のある落ち着いた笑みだった。