いつか、あなたに恋をする――

 ナイフか? と見ると、倒れた男の向こうに、何故か、注射器を手にした女が立っていた。

「生きてますか? 高坂さん」

 月明かりの中、緊張を解かずに高坂はその女を見つめる。

 女は制服を着ていた。

 港町辺りの女学校のものに似ている。

 明らかに怪しい女だが、美しかった。

 まだ歳若いその女は年齢に不釣り合いなほど妖艶に微笑む。

「……お前は誰だ?」

 新しい刺客か? と高坂は問うてみた。

 こんな美しい女が現れると、ロクなことがないからだ。

 必ず、死と陰謀を連れてくる。

 そして、どの女も消えていった。

 だが、この女は強い瞳で自分を見つめ、言ってきた。

「私は、真生。
 如月真生」

 その名を聞いた高坂は、お前か、と言う。