いつか、あなたに恋をする――

 



 高坂の部屋に戻ろうとした真生は高坂の部屋から流れる曲に耳をとめた。

 ドアを開け、
「あの曲じゃないんですね」
と真生は言った。

 くるみ割り人形の『花のワルツ』だ。

 華やかなその曲調に心浮き立つ感じがする。

「これ、掃除の前にかかってますよ」
と言うと、高坂は、なんだそれは、という顔をした。

 困ったな、と窓際の壁に背を預け、聴いていた真生は思う。

 また聴いたら泣いてしまいそうな曲が増えてしまった。

 しかも、平日は毎日かかってるしな……。

 音も匂いも記憶を強く呼び覚ますものだから。

「掃除の曲ってなんだ?」
と入ってきた八咫が言う。

 どこから聞いてたんだ、この人は、と思いながら、八咫を振り返り、
「……学校でお掃除の時間が始まるよって合図にかかる曲です」
と言った。