放課後、真生は職員室で鍵をもらい、礼拝堂に行った。
鍵が意味をなすのかわからないくらい古い礼拝堂だが。
天井が高く、パイプオルガンの音が古いコンクリートの建物の中で、よく響く。
少し外壁が崩落していたりして、危険なので、そのうち、とり壊されるかもしれないが。
真生はどこか廃墟のようなこの礼拝堂が気に入っていた。
夕暮れの中にたたずむその姿を見ていると、騒がしい学園の騒音も聞こえなくなるような。
そんな雰囲気がこの礼拝堂にはあったから。
軋む扉を開けようとしたとき、またあの曲が頭に流れた。
『終わりなき世界のレクイエム』
足許がおぼつかなくなり、冷えた空気と、暖かい空気が混ざる感じがしはじめる。
あっ、またっ、と思った瞬間、目の前に、カビ臭い木の廊下が見えた。