少し冷めた風呂で男は真生の服を脱がせ、湯で身体を洗ってくれた。
一度、冷たい水で軽く流したはずだが、やはり、動転していたのだろう。
かなり血は残っていた。
石けんで身体を洗い、シャンプーで髪を洗い流してくれる。
そのとき初めて、ああ、この時代ももうシャンプーなんてあるんだ、と思ったのだった。
今のものとは少し違うその容器を見るともなしに見ていると、男が、
「すまない、真生。
夕べ俺が居ない間に起こった火事のせいで、軍に呼ばれてたんだ」
と言ってくる。
火事? ああ、あの壁の焼け焦げた跡、と真生は思い出す。
男を殺したとき、もうあの壁は焼けて随分経っていたようだったのに。
今はまだ、建物に強い焼けた匂いが漂っている。
どうやら、時間が前後しているようだと気がついた。


