いつか、あなたに恋をする――

「私、その男の死体を始末しようと引きずっていたとき、揺らぎに吞み込まれて、うっかり、手を離してしまったんです。

 それで、男の身体はどこかへ消えました。

 そこへあなたが帰ってきたんです。

 あなたは既に私をご存知だったようで、血塗れの私に驚き、どうした、と言って、抱き締めてくれました」

 あのとき、高坂はなにも聞かずに真生を風呂場に連れていき、血を流してくれ、やさしく抱いてくれたのだ。

 高坂は黙って聞いている。

「そうなんです。
 あなたと初めて関係を持った私は、まだここに飛んだばかりの私だったんです」

 あなたが誰なのか。

 自分にとってのなんなのかも、あのときの私は知らなかったのに――。

「……何故、逃げなかった?」
と高坂は問う。

「なんででしょう?」
と真生は苦笑する。