いつか、あなたに恋をする――

「あなたも私がどう時間軸を飛んで、どのように現れていたかはご存知なかったんですね」

 懐かしい匂いのする高坂の胸に頬を寄せたまま、真生は呟くように言った。

「私が最初にここに飛んだのは、廃病院の端が焼け落ちて、ちょっとした頃です。

 ここに例の病原体を狙った男が入り込み、高坂さんの愛人である私を捕らえ、言うことを聞かせようとした」

 面白いですよね、と真生は笑った。

「私がここに飛んだ最初のときにはもう、私はすでに高坂さんの愛人だと、一部の人には知れ渡っていたわけですから」

 それより先の時間に飛んでいた自分が居たからだ。

「私は襲いかかって来た男の首をガラスで切って殺し、その死体を始末しようとした。

 今なら、八咫さんがやってくれるんでしょうが。

 そのまま転がしておかなくて正解でした。

 その時、八咫さんはここに出入りしていなかったみたいですから」

「そうだな。
 八咫は一時、日本を離れていたからな。

 お前はその間に現れたんだ」
と高坂は言う。