真生が部屋に戻ると、高坂が顔をデスクから顔を上げてこちらを見た。 「あ、お釣りです」 と戻った真生が高坂のデスクに濡れた札を置くと、高坂は眉をひそめる。 「そんな金はもういらん」 八咫はそのまま帰ったようだ。 真生は椅子に腰掛け、ガス燈の灯りを見ながら考え事をしていた。 「どうかしたのか」 「あなたの看病をしていた津田秋彦の母親が同じ病気を発症して、亡くなったんですよね」 そう言うと、高坂は笑い出す。 「そうだな。 元気な女だったからな」 その言葉に高坂を見、考える。