いつか、あなたに恋をする――

「ところで、高坂さんを殺せと命じたのは、誰なの?」

 それは言えない、という女に、真生はスカートのポケットから出した小瓶を見せる。

「なにそれ」

「天然痘ウイルス」

 がたっ、と女は立ち上がった。

 だが、すぐに冷静さを装い、なによ、と笑って見せる。

「それで、私を脅してるつもり?
 そんなもの、ぶちまけば、あんたも感染するわよ」

「私には抗体があるの。
 ワクチンを打ってるから」

 女は唇を噛み締める。

 この時代、ワクチンは存在していたようだが、女はまだ打ってはいないようだった。

「でも、あなたから、他の人間に感染させたいわけじゃない」

 だから、素直に答えて、と女に向かい、それを突き出す。

「誰に頼まれたの? 高坂さんを殺せと」

「……津田秋彦よ」

 またその男か、と思った。

 顔も知らないその男が、ずっとこの病院と高坂につきまとう。