いつか、あなたに恋をする――

「以前、私がここで会った男は、高坂さんが持っている病原体を探していると言ってたんだけど」
と言うと、

「その男はどこに行ったの?」
と少し焦ったように訊いてくる。

「大丈夫よ。
 私が殺しておいたから」

 さらりとそう言うと、女は、自分をおのれと似た境遇の女だと思ったようで、少し気を許したようだった。

「海外からこの病院に患者が持ち込んできたあの病原体、致死率は高いけど、感染力はそう強くないらしいの。

 直接打ち込むかどうかしない限りは移らないらしいけど」

 一体、軍はどうするつもりなのかしらね、と女は訊いてくる。

「そうね。
 感染力を強めるか。

 個別に殺したい人間にでも使うんじゃないかしら。

 あなたも軍で出されて、口にするものはみな、気をつけた方がいいわよ」
というと、女は、おのれの煙草を見て揉み消す。

 軍から支給されたものかもしれないと思った。