しばらくして、廃病院に戻った真生は高坂に言った。
「高坂さん、お金をください」
高坂は、書類から目を上げ、引き出しを開けると、札束を机の上に投げた。
「好きに使え」
「……いや、こんなにはいりません」
っていうか、理由も訊かないのか、この人は、と思っていた。
小金程度でいいのに、と呟きながら、真生はその束を手にする。
「どうした。お手当か」
とまたなんの悪巧みか、来ていた八咫が高坂のデスクの前から言ってくる。
愛人の手当かと言いたいようだった。
どいつもこいつもここの連中は、デリカシーにかけるな、と思っていた。
時代的なものだろうかな? と思いながら、部屋を後にする。


