三時頃、病院に戻った真生は、病棟の廊下で百合子に出会った。
「どう? 楽しかった? 百貨店」
と訊く彼女に、はい、と包みを渡す。
彼女は、すぐに開けてみていた。
「あら、資生堂の香水じゃない」
現代の友人たちに見せたら、アンティークでいい趣味ね、と言いそうなガラス瓶に入っている。
百合子は蓋を開けて嗅いでみていた。
なにかこう、なんでも行動が早いな、と真生は苦笑する。
この人なら、なにがあっても、野生の勘で逃げ延びそうだなと思ってしまう。
「そういえば、資生堂アイスクリームパーラーにも行きましたよ。
三越の食堂で、お子様ランチを食べてみたかったんですが、高坂さんに止められちゃって」
と言うと、当たり前でしょ、という顔をされる。


