本気そうで怖い、と思いながら、真生が院長室を出ると、ちょうど百合子に出くわした。
「あら、どうしたの。
素敵じゃない、それ」
と言ってくる。
昭子に借りたのだと言うと、
「へえー、昭子さん、センスだけはいいからね」
と笑う。
いや、昭子さん、まだそこに居ますけど、と扉の向こうを窺っていると、
「お洒落して、どこか行くの?」
と訊いてくる。
「仕事のついでに百貨店に連れていってもらうんです。
ご一緒にどうですか?
今、時間があるのなら」
昼前だ。
休み時間かもしれないと思い、訊いてみたのだが。
「嫌よ、行かないわよ。
なんで、いちゃついてる高坂さんとあんたについてかなきゃならないのよ。
それより、お土産買って来て。
私、香水がいいわ」
遠慮しているようなことを言いながら、いきなり高い物をねだってくる。
百合子さんらしいな、と笑ってしまった。


