それからしばらくして、真生はまた、高坂の許に飛んだ。
「どうした、ぼんやりして」
ふいに高坂にそう呼びかけられ、真生は頼まれて打っていたタイプライターに視線を戻す。
サボってませんよ、というアピールだ。
多江のことを考えていたのだ。
さっき出会って、少し話した。
いつものように控えめで可愛らしかった。
きっといい奥さん、お母さんになるんだろう。
そういう感じの娘なのに。
いや、彼女だけではない。
たまたま多江と波長があっただけで、ここで知り合った他の人たちもきっとたくさん、あの戦争で死んでいる。
ぼんやりそんなことを考えていたら、いきなり高坂が立ち上がった。
「どこか出かけるか?」
「え?」


