いつか、あなたに恋をする――

「軍部の中でも二派に別れていたから、高坂さんは命を狙われていた。

 危険な病原体を使用することを容認する人々とそうではない人。

 倫理的な面からだけでなく、抗体は高坂さんの血の中にしかないし、本当にそれが効くかも、軍の上層部、全員に行き渡るかもわからない。

 ましてや、高坂さんは海軍の人間だし。

 陸軍では、もっと意見が分かれていたんじゃないかしら」

「そもそも、高坂は病気が治ったわけじゃなくて、蘇りの儀式で蘇っただけなんだろ?
 本当にあいつの血の中に抗体があったのか?」

 それもわからない、と真生は言った。

「でもきっと、軍があると思い込んでいることが問題だったのよ」

 そのとき、
「真生ーっ。こんなところに居たー」
と言いながら、夏海たちがやってきた。

「坂部が呼んでるよー。
 あと、あんた実習で使うキャベツはどこよー」

 さも重大事のようにそう叫ばれ、真生は笑ってしまった。

 斗真も横で、
「なんか一気に平和になったな」
と呟いている。

 気が抜けたようだ。

 そうだ。
 あの時代に飛ばなければ、自分たちの居るここは至って平和だ。