いつか、あなたに恋をする――

 今どきあまり見ないような風情ある建物がすべて新しく、男たちの格好も時代錯誤だ。

 立ち込める霧が余計に現実感を無くす。

 風が吹くたび、その霧が冷たく頬をかすめていくのを肌で感じながらも。

 斗真は死んでいる男の脚を掴んで引きずった。

 お誂(あつら)え向きに、目の前は海だ。

 放り込んでしまえばいい。

 それにしても、軍服の生地って、こんな肌触りなのか、とごわついているが、しっかりとしたそれを掴みながら、海に放ろうとしたとき、虫の音が聞こえてきた。

 そこは川原だった。

 いつも学校帰りに通る川原だ。

 空には満天の星。

 霧はもうどこにもなかった。

 斗真は男の脚を掴んだまま、首を斬られて死んでいる男の後ろ頭を見つめていた。