いつか、あなたに恋をする――

 



 初めて飛んだときに見たのは、今とはまったく違う街並み。

 港近くにある異人館通りのように見えた。

 薄く張った霧の中、ぽつぽつと見えるガス燈の明かりが滲んで見える。

 その世界で、自分はカーキ色の軍服姿の男達に取り囲まれた。

「高坂。例の件から手を引け」
と先頭に居た男が刀を自分に向けて言う。

 みなぎる殺気。
 その気迫のこもった目許と隙のない動きに、かなりの手練(てだれ)だとわかった。

 気を抜いたら、やられる。

 誰かと間違われているなと思ったが、話してわかるような輩(やから)ではなさそうだし、口を開いた途端に、やられそうだった。

 男の後ろに居た男が勇み足で飛びかかってきた。

 はっ、と先頭の男が見たときには、斗真は男の手から刀を叩き落としていた。

 自分が先頭の男を斬り伏せたあと、他の連中は散り散りに逃げていった。

 やはり、雑魚か、と思う。

 生きた人間を斬ったという感覚はなかった。

 この世界自体が、偽物のように思えていたからだ。