いつか、あなたに恋をする――

 鍵の話をすると、坂部は何故か予想していたように、そうか、と言い、新しい鍵をくれた。

 そのまま、斗真が家まで送ってくれる。

「あ、斗真だ」
 自宅前で、遊びから帰ってきた小学生の弟が、斗真を見つけるなり、嬉しそうにその名を呼んだ。

 年の離れた弟、曽良(そら)は斗真を兄のように慕っていた。

「じゃあな」
と曽良の頭をぽんぽんと叩き、斗真は帰っていく。

 その後ろ姿を見送りながら、曽良が言った。

「斗真、格好いいよなあ。
 姉ちゃん、なんで、斗真と付き合わねえの。

 ああ、相手にされないか」

 ゴンッと真生は小学生の頭を大人げなく叩く。

 平和だな、ここは、と思いながら、玄関を開けた。