鍵を取り戻せないまま、やがて、真生は現代に戻った。

 戻った場所は礼拝堂だった。
 誰も居ない。

 夕暮れの光はまだステンドグラスから差し込んでいて、真生はそれをしばらく眺めたあとで、外に出た。

 斗真が立っている。

「あら、斗真、なにをしてるの?」
と訊いてみたが、斗真は、別に、と言う。

 なんとなく並んで歩き出す。

「ねえ、私、今から先生に叱られに行くんだけど、一緒に行かない?」

 礼拝堂の鍵をなくしたことを伝えに行くのだ。

「お茶に誘うみたいに軽く言うなよ」
と言いながらも、斗真はついて来てくれた。