この這う男の霊は、学校で見るときよりも、はるかに実体に近く、力を持っているように感じられたからだ。

 逃げなければ、と思う。

 よくわからないが、ともかく、ここを出ようと真生は思った。

 焼け落ちている廊下の突き当たりに向かって、真生は走り出そうとしたが、ぎくりとして、すぐに速度をゆるめてしまう。

 受付のドアも外れており、そこに白い人影が見えたからだ。

 長いスカートをはいた看護師のようだ。

 えらく服装が古い。

 背中を向けているだけに怖いな。

 振り向かれたら嫌だ。

 そんなことを考えながら、ゆっくりと這ってくる男の位置を確認しようと振り返ったとき、それが目に入った。