すぐ側の部屋の中には、ベッドが置かれているが、シーツもマットもなく、下の木の部分がむき出しになっている。

 ベッドの横には点滴を吊るすような錆びた鉄のスタンド。

 その金気臭い匂いがここまで漂ってきそうな雰囲気があった。

 ……病院?

 いや、廃病院か、と真生が思ったとき、後ろから男が床を這いながらやってくるのが見えた。

 生きてはいない男だ。

 ……殺された。

 お前に殺された……。

 そう言いながらやってくるその霊は、いつも学園に現れるのと同じ霊だった。

 お前に殺されたとか言いながら這ってきて、たまに、誰かの足をつかんでみたりしている。

 まだ若く、目つきの鋭い男だ。

 いつも見るから顔は覚えている、間違いない。

 何故、この場所に?

 そういえば、学園のある場所は、元は病院だったはずだ。

 もしや、ここは過去の学園で、この男の霊は、その頃から居るのだろうか。

 だが、いつまでも考えている暇はなかった。