それにしても。

 大人の高坂さんを私が蘇らせた――?

「その儀式は成功したんですか?」
と昭子に訊いてみる。

「成功したから、今、透さんが生きてるんじゃないの?

 まあ、私は最後までは見てないんだけどね。

 あれを持ち出したこと、あなたたちに気づかれたくなかったから」

 ちょっと待って、と言って、昭子は部屋へと戻っていく。

「返すわ、それ」
と古いノートのようなものを渡してきた。

 それは、あのとき、昭子が月明かりの下、読み上げていたノートだった。

 ぱらりとめくった真生は、息を呑む。

「透さんが意識を取り戻したあと、あなたが投げ出していたのをもらったの。

 ありがとう。
 おかげで欲しいものが手に入ったわ」

 そのまま行こうとする昭子に呼びかけた。

「これでいいんですか?」
と。