「高坂さんを蘇らせたのは、高坂さんのお父様では?」

「いやね。
 私が見たのは、大人の透さんを蘇らせるところよ」

 どういうことだろう。

 私にそのような記憶はないし、高坂さんもそんな話はしたことはない。

 では、これから未来で、私が高坂さんを蘇らせるということなのだろうか。

 学園で昭子の姿を見た。

 過去の残像なのだと思っていたが。

 ここの不安定な磁場に呑み込まれ、知らない間に、未来と少し重なった場所を歩いてしまう人間もいるのかもしれない。

 あの学園七不思議のひとつ。

 『地下の階段を歩く白い服の女』は、やはり、昭子だったのだろう。

 彼女には霊感はないようだが。

 次元の裂け目にある磁場に引かれやすい人間なのかもしれない。

 昭子自身には、時間を飛んでいるという意識はないようだが――。

 おそらく、すぐに抜けて元の時間に戻っているからだろう。