真生が図書室の扉を開けて、礼拝堂に戻ったとき、まだ坂部は戻ってきていなかった。

 もう一度、あの曲を弾いてみる。

 頭の中でいろんな映像が回っていた。

 死体を引きずる人。

 魔法陣。

 羊皮紙とあのノート。

「如月ーっ。
 楽譜と違うじゃないかーっ」

 いきなり、そんな声がして、礼拝堂のドアが跳ね開けられた。

 真生は、はっと手を止める。

 すると、坂部が、
「手は止めるなーっ」
と自分で怒鳴っておいて、無茶を言う。